2020年度から大学入試を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。新しい改革の対象は大学入試だけではありません。高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の3つを変えていこうというものです。
この教育改革は、次期学習指導要領のロードマップに従って、現在すでに大学以外から始まっています。小学校での授業は140時間に、中学校での学習内容は従来の高校英語の範囲を必修に、大学入試では4技能が問われることになります。
英語学習の前倒し
小学校、中学校、高校の全てで英語学習の前倒しが行われます。
【小学校】英語活動は3年生、4年生から 5年生、6年生で英語が正式教科に
小学校では、18年度から3年生、4年生で英語活動が始まり、5年生、6年生で英語が正式教科になりました。
新学習指導要領ではこれまで行われていた5年生、6年生での外国語活動が3年生、4年生に引き下げられます。時間数は週1コマ、年間35時間でゲームなどを通じて英語に親しみ簡単な英語を聞いたり話したりするコミュニケーションの英語授業です。
5年生、6年生では英語は成績の付く教科になり、聞く、話すに加えて、アルファベットから始めて簡単な英単語や英語の文章などの読み書きも行います。
授業数は週2コマ、年間70時間です。3年生、4年生に従来の5年生、6年生の学習内容が課され、5年生、6年生ではより高度な内容になり、時間もこれまでと比べて倍増することになります。
【中学校】目標習得単語数の増加や英文法学習の前倒し
中学校での目標習得単語数は従来の1200語から1600語から1800語に増えます。また、これまで高校での学習内容だった英文法が中学校で習うことになります。例えば使役動詞、現在完了進行形、仮定法などです。さらに、授業は基本的に英語で行われることになります。
【高校】国が指定する民間の検定試験のスコアを大学へ 目標英単語習得数の増加
高校では、国が指定する民間の検定試験(英検など)の中から、高3の4月から12月の間に、二回まで受験することができ、スコアとCEFRに基づく段階別成績に換算したものを大学に提出します。国の目標は高校卒業時にCEFRの基準でA2に到達させようというものです。A2レベルは、英検でいうと準2級に相当します。従来は高校での目標英単語習得数は卒業時に3000語だったものが4000語から5000語に増加します。
このような改革が行われようとしていますが、指導する英語教員の養成など急速な体制の移行はかなりの困難が予想されます。
大学入試共通テストはどんな試験になるのか
2018年度の高校1年生から受験することになる大学入試共通テストは、今までのセンター試験とどこが違うのでしょうか。大きな違いは2つあります。
数学と国語で記述式が課される
1つ目はこれまでマークシート方式の四肢択一だけだった解答方式に数学と国語で記述式が課されることになります。24年度試験以降は、地理歴史公民、理科でも記述式問題が導入される予定です。
英語は民間の検定試験を利用した4技能が問われる
2つ目は英語です。民間の検定試験を利用した4技能が問われることになります。
大学入試センターは、2017年11月と2018年2月に大学入試共通テストのプレテストを行いました。正答率が1割に満たない問題があったことや、記述式での採点で公平性をどのように担保するのかを疑問視する声が多く、受験生のみならず実施する側も不安を抱えたままの状況となっています。